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進捗管理って何するの?

プロジェクト管理につきものの進捗管理。やっていないというプロジェクトマネージャーはいないと思います。

しかしスケジュール通りに進んでいる、進んでいないという事実確認だけで一喜一憂しているだけではないでしょうか?

正しく進捗管理ができないとメンバーに余計なプレッシャーを与えてしまったり、顧客との交渉が後手にまわってしまうなど、プロジェクト運営に悪影響が出てしまいます。

今回は進捗管理に有効な「EVM」という手法についてご紹介します。

進捗管理の一番の目的は「遅れの見える化」

よくある誤解として、進捗管理とはスケジュール通りに進むようにプロジェクトをコントロールすることではありません。

「プロジェクトは遅れるものである」という前提で、「今、何がどのくらい遅れているか」を知るために行うのです。

予定通りに開発が進むのであればプロマネとしてこれほど楽なことはありませんが、まずそんなことはありません。技術的な問題か顧客の問題か。原因は様々ですが、何らかの問題によって高確率で計画にズレが生じます。

進捗管理はその問題を「スケジュールとのズレ(遅れ)」という形で検出し、早めに対策を打つために行うのです。

そのために「今」「どのタスクが」「何人日(何人時)遅れているか」をプロジェクト関係者に共有することが重要となります。

つまり進捗管理の最も重要な目的は「遅れの見える化」なのです。

EVMによる進捗把握

進捗管理は「このタスクが〇%完了した」という形でパーセンテージで管理する手法が一般的です。

MS Projectなどの進捗管理ツールを使い慣れた方は、ガントチャートにこれを反映しイナズマ線で遅れ状況を把握する方も多いと思います。

これはざっくりとした進捗把握には大変便利なのですが、開発メンバー各人の進捗を把握するには不向きです。

「90%症候群(シンドローム)」と呼ばれますが、メンバーからの進捗報告が進捗率90%あたりから伸び悩み、いつまでもタスクが完了状態とならない現象が発生します。

メンバーにも「難しい実装を後回しにしていた」などの言い分はあるでしょうが、それでは正しい進捗の把握ができません。

そこでおすすめしたいのが「EVM」による進捗管理です。

EVMとはEarned Value Management(アーンド・バリュー・マネージメント)の略で、コスト基準で進捗状況を確認する手法です。

システム開発におけるコストとは工数のことです。つまり、工数ベースで進捗を確認していくのです。

例えば、8日かかる予定のタスクに10日かかった場合、本来の予定から「2日遅れ」ということが確認できます。

また8日かかるタスクを4日間実行した時点で、あと6日の作業時間が必要と分かった場合。これも「2日遅れ」になることが確認できます。

このようにタスクにかけた工数はどのくらいか、あとどのくらいの工数が必要か、という視点で進捗を見ていくのです。

いかがでしょう。「〇%終わりました」という報告よりよほど役に立たないでしょうか?

EVMの使い方

EVMを扱うには、次の4つの指標を理解しておく必要があります。

EV(Earned Value) 実際の出来高
PV(Planned Value) 出来高の計画値
AC(Actual Cost) コスト実績値
BAC(Budget At Completion) 完成時総予算
EVMの説明

事前にPV(出来高の計画値)とBAC(完成時総予算)を登録しておき、開発中はAC(コスト実績)に工数を積み上げていきます。

EV(実際の出来高)を出すには、ちょっとしたコツがあります。

「タスクの完了までに必要な残り工数」から計算で導くのです。

例えば一人で8日かかるタスクを4日間実施した時点で、あと6日の作業時間が必要と分かった場合。次のように考えます。

BAC(完成時総予算)= 8人日
PV(出来高の計画値)= 4人日
AC(コスト実績) = 4人日
残り工数 = 6人日
EV(実際の出来高)= BAC / (AC + 残り工数) * BAC = 3.2人日

4人日分の作業が終わってなくてはいけないところ、3.2人日分の出来高であることが分かります。つまり、現時点で0.8人日の遅れが生じていることになります。

EVM例4日目

この場合、残り4日で4.8人日分の作業をこなせばよいことになるので1日だけ1名の増員で遅れを取り戻せそうです。

一人追加し、次の日が順調に作業できた場合の実績は次の通りです。

BAC(完成時総予算)= 8人日
PV(出来高の計画値)= 5人日
AC(コスト実績) = 6人日
残り工数 = 2.8人日
EV(実際の出来高)= BAC / (AC + 残り工数) * BAC = 5.13人日

PV(出来高の計画値)が5人日ですので、0.13人日の前倒しになりました。その分余計なコストが発生しましたので、AC(コスト実績)は+1人日のコスト増となります。

EVM例5日目

本来であれば2人日分の追加コストが発生するところ、タスク途中で遅れに気づいたことで1人日分のコスト増に抑えることができました。

実際は遅れの要因次第で取るべき選択肢が変わりますので、人の追加だけが解決策ではありません。

しかし基本は同じです。遅れを早く正確に把握することで、リカバリコストの大きさを把握し影響を最小限に抑えていくことができるのです。

進捗管理とリスク管理はセットで考える

ここまでで日々の進捗確認は問題なくできると思います。

では、実際に進捗遅れが確認できた場合はどうすればよいでしょうか。

まずは遅れの原因を特定することが重要です。

軽微な問題であればベテランメンバーの手を少し借りるなど、プロジェクト内で簡単に解決できることと思います。上述したように早め早めの確認を心がければ、1回あたりの負荷は小さいはずです。

そうではない大きな問題であればリスクとして管理すべきです。

リスク管理のやり方はこちらの記事にまとめましたのでご参考にしてください。

進捗リスクに対しては、スケジュール変更(延期)、機能削減、人員投入の大きく3つの対策が考えられます。

いずれもQCD(品質・コスト・納期)に影響しますので、関係者間での調整が必要になるでしょう。

しかしEVMで進捗を正確に把握できていれば、増加コストや遅れ具合などのデータを客観的に示すことができるため交渉が進めやすくなります。

リスクが発生したらデータを示すのではなく、日頃からデータ共有することで理解が得やすくなると思いますので、積極的に活用していただければと思います。

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  • この記事を書いた人

SATORU

長野県在住のシステムエンジニア。仕事はソフトウェア開発、Web、デジタルマーケティング、組み込み、プロマネ、商品企画、システム導入、運用支援などなど。特化型ではなく万能型のエンジニア。田舎住まいなのでその方が重宝されるのです。

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