「文系大学出身でもプログラマーになれるだろうか?」
「やっぱり理系じゃないときつい?」
「文系プログラマーって立場が弱いのかな?」
このようなことで悩んでないでしょうか?
実は文系大学出身で活躍しているプログラマーは意外と多いんです。
私はIT業界で20年ほど働いていますが、経済学部や法学部などの出身で活躍しているプログラマーさん達を何人も見てきました。
反対に、残念ながらIT業界に馴染めず去っていた文系プログラマーさんも多く見てきました。
この記事では、実際に文系プログラマーの方達と接して分かった、文系プログラマーがIT業界を渡っていくためのコツや気をつけるべき点についてご紹介します。
プログラマーの仕事とは?
まず、プログラマーはどんな仕事なのか確認しておきましょう。
プログラマーとは、システムエンジニアが作成した設計書に従い、コンピューター上で動くソフトウェアを作成する仕事です。
コンピューターに指示を出すための命令を書く行為を「プログラミング」、プログラミングに使用する命令を「プログラミング言語」と呼びます。
プログラミング言語を駆使し、ソフトウェアをプログラミングするところから、「プログラマー」と呼ばれます。
プログラマーのメリット
プログラマーには以下のようなメリットがあります。
- 食いっぱぐれない
- 就職先が豊富
- リモートワークしやすい
食いっぱぐれない
経済産業省の調べでは、IT人材は2030年には最大で79万人不足すると発表されています。
IT市場は現在最も活気がある市場の一つですし、今後も増加傾向にあることから、プログラマーは食いっぱぐれることがない仕事と言っても良いでしょう。
就職先が豊富
IT業界は慢性的な人手不足が続いており、需要に供給が追い付いてません。
売り手市場ですので、就職、転職先の選択肢は非常に多いです。
リモートワークしやすい
パソコン1台あれば仕事ができるため、リモートワークしやすいです。
コロナ禍以前から在宅勤務を取り入れている企業が多くありました。
プログラマーのデメリット
プログラマーには以下のようなデメリットがあります。
- 忙しい
- 実力重視の世界
忙しい
経済産業省は「IT人材は2030年には最大で79万人不足する」と発表しています。
国が言及するくらいIT業界は慢性的な人手不足が続いています。
だから食いっぱぐれないというメリットでもあるのですが、人手が足りない分忙しいところが多いです。
特に中小企業は残業が多かったり、業務過多になりやすい傾向があります。
実力重視の世界
プログラマーは実力重視の世界でもあります。
プログラムを組むのが遅い、バグが多いなど、実力が目に見えて分かりやすいため、パフォーマンスが悪いと全く評価されません。
特に外資系企業では3ヶ月でクビ、なんてことも普通にあり得ます。
プログラマーの適正について
プログラマーは専門性が必要な仕事ですので、誰でもできる仕事というわけではありません。
プログラマーに向いている人、向いていない人の特徴を確認しておきましょう。
プログラマーに向いている人
コンピューターの仕組みに興味がある
コンピューターがどうやって動いているか興味がある人は、プログラマー適性があると言えます。
ただ、学生に多いのですが「ゲームが好きだからプログラマーになりたい」というのは、少し考えた方が良いです。
例えば「弾が追尾する仕組みはどうなっているのか?」とか「敵の行動ロジックはどうプログラミングされているのか?」といった点に興味を持てる人はプログラマー適性が高いです。
ただゲームをプレイするのが好き、攻略するのが好き、というだけではプログラマー向きとは言えません。
論理的思考が得意
論理的思考とは、ものごとを筋道立てて考えることができる能力のことです。
論理の破綻しない説明が得意な人はプログラマー適性が高いと言えます。
プログラミングは論理的思考の固まりのようなものですし、お客様とのコミュニケーションにも重要な要素になってきます。
分からないことを自分で調べて(ググって)前進できる
IT業界は非常に進歩が速い世界です。
特にプログラマーのメイン道具となるプログラミングは、毎年のように新しい手法や技術が出てきて、そして廃れていきます。(もちろん、廃れずに残るものもあります)
そのため、常に技術力を向上させる努力が出来る人が残ります。
分からないことを周囲に聞くことも大事ですが、新しい技術は周りの誰も知らないということがよくあります。
ある程度のことは自分で調べて(ググって)自分で解決して、どんどん前に進める人の方がプログラマー適性が高いと言えます。
プログラマーに向いてない人
コミュニケーション能力が低い
意外に思われるかもしれませんが、コミュニケーション能力が低い人はプログラマー適性は低いです。
プログラマーは「一人で仕事できる」「会話は最小限でいい」と思っている方がいらっしゃいますが、大きな間違いです。
確かにプログラミング中は一人ですが、仕様の細かい確認や、進捗報告、お客様との打ち合わせなど、人と会話する機会はかなり多いです。
高度な駆け引きやコミュニケーション術は必要ありませんが、社会人としての最低限のコミュニケーション能力は必要です。
細かい文字や説明文を読むのが苦手、嫌い
契約書やお役所の手続き書類など、たくさんの文字を集中して見るのが苦手という人はプログラマー適性は低いです。
プログラムが動かない場合、その原因を解明しなくてはいけませんが、その際に拠り所となるのが大量の情報が記録されたログやエラーメッセージです。
文字がびっしり書かれた書類を読むのが苦手な人は、同じように文字びっしりのログやエラーメッセージを読むのに苦労するでしょう。
頭が固い、頑固
頭が固く、多様性を受け入れにくい人はプログラマー適性は低いです。
IT業界は歴史が浅く、また進歩が早い業界です。
昔のやり方に固執する、成功体験にばかりすがっているという人は、遅かれ早かれ消えていきます。
新しい技術を柔軟に取り入れるのはもちろんですが、それが期待通りでなかった場合にも固執することなく、別の技術を学び直すようなフットワークの軽さが大切になってきます。
文系プログラマーの強み
文系プログラマーは理系出身者に比べて一般的に不利とされていますが、文系ならでは良さもあります。
個人的な感想となりますが、実際に私が現場で見てきた文系プログラマーの方の強みだと思う点について解説します。
文書のまとめ方が上手い
プログラマーは、設計書、お客様への報告資料、技術調査資料など、書類をまとめる機会が多くあります。
文系出身者は、報告する相手によって言葉を使い分け出来る人がとても多い印象です。(バリバリ理系の人はTPO関係なく専門用語一辺倒だったりします)
文系大学にはもともと文系教科が得意な人が進学しているのもあると思いますが、進学後も理系大学より多く言葉の訓練を積んでいるのだなと感じます。
コミュニケーション能力が高い
文系出身者はコミュニケーション能力が高い人が多いです。
IT業界がいわゆる「オタク」「コミュ障」と言われるような人が多い業界なので、余計にそう感じるのかもしれません。
他の業界では平均レベルのコミュ力でも、IT業界ではおそらく平均以上ですので、自信を持って良いと思います。
文系プログラマーがきつく感じるポイント
理系出身者より優れている点がある一方で、文系プログラマーならではのきついと思う点がいくつかあるようです。
文系プログラマーの代表的な悩みについて見ていきましょう。
プログラミングが分からない、興味が湧かない
とても残念なことに、がんばってプログラマーになってみたけどプログラミングがさっぱり分からない、となってしまう方がいます。
特に論理的思考が苦手な方が悩みポイントのようです。
プログラマーの本質的な部分で”きつさ”を実感してしまうので注意が必要です。
理系出身者への劣等感
これが文系プログラマーに一番多い悩みかもしれません。
文系プログラマーは理系出身者に劣等感を持つケースがとても多いようです。
正直なところ理系出身者の方が飲み込みがよく、仕事を早く覚えるケースが多いのは事実です。
しかしそれはスタート時点の話であって、仕事に慣れてくれば個人の地力による差の方が大きくなります。
そこまで我慢できれば自信が持てると思うのですが、真面目な人ほど能力差を気にしてしまうようです。
憧れとのギャップ
「おしゃれなオフィスでスマートにお仕事! ランチは同僚と新しくできたカフェで!」
そんなイメージがプログラマーにあるかもしれませんが、実際の仕事はすごい地味です。
会社に閉じこもり、設計→開発→テスト→不具合修正→テスト→不具合修正……延々とこれの繰り返しです。
プログラマーへの憧れが強いほどこのギャップに悩まされるようです。
文系プログラマーがIT業界で楽しくやっていくためのコツ
楽しく仕事をしている文系プログラマーには、共通している要素がいくつかありました。
プログラミングを楽しむ
プログラミングが分からなくとも、楽しめなくては長続きしません。
誰だって最初は初めて。分からないことを覚えていくのが楽しい、という気持ちが重要です。
とはいえ、やったこともないプログラミングが楽しいと思えるかは正直分からないと思います。
まずはプログラミングの本を読んでみるとか、このような子供向けのプログラミングゲーム でお試ししてみるのが良いかと思います。
分からないことは素直に聞く
分からないことは素直に周りの人に聞きましょう。
分からないことを分からないまま放置して、時間だけ過ぎてしまうのが一番やってはいけないことです。
修業期間は「長い」と覚悟する
文系プログラマーは理系出身者に対する強みもありますが、技術面でアドバンテージを取られていることは否定できません。
プログラミングはあきらめずに練習していけば、必ずできるようになります。
理系出身者と修業期間が違うのはしょうがないと割り切って、余計な劣等感を持たないようにすることが大切です。
文系大学出身者がプログラマーになるための方法
文系大学出身者がプログラマーになる方法は3つあります。
ただし、いずれも「がんばればプログラマーになれる」方法であって「簡単になれる」方法ではありません。
プログラミングスクール
オススメ度 | ★★★ |
学習にかかる費用 | 50万円~70万円 |
学習期間 | 6ヵ月~1年 |
就職のしやすさ | ★★★ |
挫折のしやすさ | ★ |
本気でプログラマーを目指すなら、プログラミングスクールに通うのが最もおすすめです。
費用は高額ですが体系立ててプログラミングが学べますし、何より一緒にプログラマーを目指す仲間がいることが大きな励みになります。
卒業後はIT企業への就職斡旋をしてくれるところも多く、そういうスクールを選べば転職もスムーズです。
IT企業へ転職
オススメ度 | ★ |
学習にかかる費用 | 0円 |
学習期間 | 転職先による |
IT企業への就職しやすさ | ★ |
挫折のしやすさ | ★★★ |
既にIT業界でやっていく自信がある方は、思い切ってIT企業へ転職してしまうのも手です。
IT業界は慢性的な人手不足で、未経験者OKで募集をかけている企業が多くあります。
ただし、どのレベルを「未経験」と言うかは会社によって異なりますので、募集要項をよく読んで応募しましょう。
入社後はOJT形式でプログラマーの基本を叩きこまれると思いますが、ここでついていけないと即効挫折します。
また未経験者OKの会社は「未経験でも人手が欲しいくらいに忙しい」ということですので、ブラック企業に捕まらないよう慎重にチェックしましょう。
独学
オススメ度 | ★ |
学習にかかる費用 | 1,000円~1万円(書籍代) |
学習期間 | 自分のやる気次第 |
IT企業への就職しやすさ | ★ |
挫折のしやすさ | ★★★ |
正直オススメしません。
必要な費用は書籍代程度ですので、安上がりに学習を始められますが挫折しやすいです。
一番きついのが、先生役(質問できる相手)がいないことです。
特に学び初めの頃は、本の通り組んでもプログラムが動かないということがよくあります。
そういう時に教えを請う相手がいないと、それだけであきらめたくなってしまうでしょう。
分からないことは、ココナラ で現役プログラマーの質問サービスを探して聞いてみるなど、独学と言えど誰かに頼る手段を持つことが大切です。
まとめ:文系プログラマーはIT業界にいっぱいいるし、楽しくやっていける
上記で紹介した通り、文系プログラマーはIT業界で十分活躍できます。
IT業界がつらい、きついと感じるかどうかは本人の気持ち次第です。
最後にもう一度文系プログラマーがIT業界で楽しく生きていくためのポイントを確認しましょう。
- プログラミングを楽しむ
- 分からないことは素直に聞く
- 修業期間は「長い」と覚悟する
ここまで読んで「きつそうだけど、おもしろそう! やってみたい!」そう思えた方は、ぜひ挑戦してみてください。
IT業界は今"超"売り手市場なので、プログラマーになるハードルは低いと思います。
とはいえ相応のスキルが求められる仕事ですので、プログラミングスクールで基本を学び転職するのがオススメです。
「いきなりプログラミングスクールはちょっと……」という方は、まずはプログラミングの本を一冊買うところから始めてみてはいかがでしょうか?